No Audio ⏸ 革新的リーダーは世界を異なった視点で見る グローバル調査の結果、革新的リーダーは、ダイナミックに進化するビジネス環境の中で変化を受け入れる準備が整っていることが明らかになった。 序文 主な発見事項 重要な問い 調査について はじめに 革新的な変化が起きており、今後さらに加速するでしょう。あなたの組織は、この瞬間をつかむ準備ができているでしょうか。 このメッセージは、第2回目となるグローバル・ボード・ガバナンス調査の結果に繰り返し現れます。1,800人以上の取締役および経営幹部を対象としたこのグローバル調査結果から、自らを革新的リーダーであると考える組織は、破壊されるリスクにさらされていると考える組織と比較して、変化するビジネス環境の中でチャンスを見出し、異なる方法で事業を展開していることが明らかになりました。 フルレポート(英語版) 自社が業界の革新的リーダーであると回答した組織は、わずか15%に過ぎない。 調査から得た主な洞察 変化するビジネスモデル 革新的リーダーの備えは万全 生成AIは試金石 技術革新の進度が示す現実 変化するビジネスモデル 組織のビジネスモデルの半減期は短くなっています。本調査結果によると、全体の4分の3以上の組織が、今後36ヶ月以内に自社のビジネスモデルが中程度から大幅な変化を遂げると予想しています。技術の進歩、地政学的な変化、進化する顧客体験、規制の変更、経済変動、革新的イノベーションなどの市場要因によって、企業は競争力と存在意義を維持するために、これまで以上に頻繁にビジネスモデルを適応させる必要に迫られています。 革新的リーダーの備えは万全 敏捷性や革新的な企業文化から、企業を混乱させる可能性のある外部要因に対する見解に至るまで、革新的リーダーである組織は、世界を異なる視点で見ており、変化を受け入れる準備が整っています。 生成AIは試金石 生成AIに関しては、特に大きなリスクが伴います。これは、革新的リーダーとしての立ち位置によって、ゲームチェンジャーにもなり得れば、極めて深刻なダメージをもたらす可能性もあるためです。ほとんどの革新的リーダーは、生成AIをビジネスチャンスとして捉え、活用していますが、一方、破壊される側にあると考える企業の5社に2社以上は、生成AIをビジネスへの大きな脅威と捉えています。 技術革新の進度が示す現実 注目すべきは、調査回答者全員が、所属する組織が革新的リーダーであるか否かにかかわらず、自社の戦略やビジネスモデルを揺るがす外部要因として、「テクノロジー進化の加速」を最も重要な懸念事項として評価していることです。 Image 取締役や経営幹部にとって重要な問い 本調査の主要な示唆に基づき、競争環境、潜在的なディスラプター(革新的な存在)、自社の革新におけるポジショニングを評価する際に、取締役や経営幹部が検討すべき質問を以下に提示します。 戦略とビジネスモデル + 本当に顧客中心の組織でしょうか。 例えば、顧客体験の向上に十分に注力しているでしょうか。また、事業モデルとその根幹となるプロセスの妥当性を持続させ、顧客の嗜好や期待を優先する上での社内の障壁を特定し克服する際に、顧客への価値提供をすべての意思決定の中心に据えているでしょうか。業界や市場で、私たちの戦略やビジネスモデルに影響を与える可能性のある革新的または破壊的な事象を特定していますか。これらのシナリオがビジネスに与える影響をシミュレーションし、その影響の程度を理解し、最適な対策を講じるために、短期的に準備すべき行動を含めて検討していますか。戦略の根底にある最も重要な前提を理解し、その前提を無効にしてしまう可能性のある外的・内的要因をモニタリングしていますか。戦略の基盤となる重要な前提や、破壊的シナリオの継続的な分析に基づいた「重要指標のダッシュボード」や「早期警告アラート」など、早期警戒の仕組みは整備されていますか。 戦略の実行そのものをモニタリングするのと同様に、市場や顧客、経済や競争環境の変化をダッシュボードでモニタリングしていますか。 革新的なトレンドや事象に対応するため、あるいは戦略的前提がもはや適切でなくなった場合に必要となる、戦略やビジネスモデルの変更を実行する準備はできていますか。 組織の意思決定プロセスは、迅速で質の高い意思決定を可能とし、俊敏でレジリエンスのある行動をサポートしていますか。 変化に対応し、ビジネスモデルと戦略を適切に調整するために必要なリーダーシップ、人材、スキルがありますか。 不足している場合、どのようにギャップを埋め、レジリエントで多様なスキル、視点、そして変化への対応力を備えた人材を構築し、維持しますか。 中核的なスキルとしてデジタル能力を定期的に評価していますか。 顧客嗜好、競合他社の行動、業務改善に関するデータに基づいた意思決定を行うために、顧客、市場、その他のインサイトを活用していますか。 従業員の参加を広げ、イノベーション・プロセスを活性化し、意思決定における無意識の偏見を排除するために、顧客、サプライヤー、その他の外部関係者を巻き込むフィードバック・ループが整備されていますか。 AIとその他のテクノロジー + 現在、組織は生成AIに関する機会とリスクをどのように展開し、管理していますか。これらの機能を試行し、選択されたユースケースの実装を可能にするために、どのようなガバナンス体制を整備していますか。 法的、規制的、倫理的な課題にはどのように取り組んでいますか。 AIモデルが使用するデータの信頼性はどのように確保・管理されていますか。組織は、現在および今後出現する形態の生成AI、さらにはエージェント型AIなど他のAI関連システムを今後どのように利用する予定ですか。 AIの導入をリスクとみなすなら、その視点はAIがもたらす機会の実現を妨げていませんか。AI投資の価値を最大限に活用するためには、組織文化、人材戦略、テクノロジー環境にどのような変化が必要ですか。 成功に必要な人材やスキルは社内にありますか。 テクノロジー投資の価値を十分に実現するために、必要なスキルアップを含め、継続的なトレーニングや人材育成に投資していますか。 テクノロジーのモダナイゼーション(近代化) + 近年のモダナイゼーション投資から学んだ教訓を明確に理解していますか。既成概念にとらわれず、モダナイゼーションに向けて最善のアプローチを取っていますか。 例えば、購入するのか、自社開発するのか、それともハイブリッド・アプローチを導入するのか。 適切なパートナーはいますか。大規模な投資を管理可能な単位に分解していますか。テクノロジーインフラのモダナイゼーションを妨げる障壁はありますか。例えば、資本やリソースの制約、あるいは規模拡大の課題に直面した場合、どのように対処しますか。その他の障壁を取り除く、あるいは克服するための計画はありますか。組織のレガシーシステムに関連する「技術的負債(technical debt)」は、現在どの程度ですか。技術的負債がもたらすリスク、特に技術的負債がイノベーションを起こし、デジタル成熟企業との競争に打ち勝つ能力に与える影響をどう評価しますか。技術的負債を減らすための戦略はありますか。モダナイゼーションの取り組みを評価し、優先順位をつけるために、どのようなガバナンス体制を導入していますか。 革新的リーダーになるための障壁と変革に対する対応 + 上記以外で、業界の混乱にタイムリーに対応する能力を妨げている障壁はありますか。これらの障壁を取り除き、あるいは克服するための計画は何ですか。人材戦略は、イノベーションを事業モデルに組み込み、継続的な学習、実験、創造的思考、リスクテイクを優先し、それに報いる革新的な組織文化を浸透させることを可能にしていますか。 混乱に対応する敏捷性とレジリエンス + 敏捷性(アジリティ)はビジネスの中核的なマインドセットですか。サービスを提供する市場において避けられない変化を乗り切るために、事業原則とプロセスに柔軟性と俊敏性を取り入れていますか。 混乱に関連する懸念は、準備態勢と対応力を改善する必要性について何を示唆していますか。新たな機会や脅威に対応して戦略、プロセス、組織構造を迅速に適応させる能力をどのように改善すれば、C-suiteや取締役会の混乱リスクを管理する能力に対する信頼を高めることができますか。例えば、オープンで柔軟性があり、権限を与える組織構造とフラットな階層によって、無駄のない行動を育んでいますか。組織の構造と階層は、効率性を促進し、イノベーション・サイクルを加速し、コラボレーション、コミュニケーション、透明性、迅速な意思決定、顧客重視の実行を促進していますか。 混乱に関連するリスクを組織全体のリスクガバナンスにより効果的に統合するために、どのようなステップを踏む必要があるでしょうか。例えば、ビジネス環境のスキャン、潜在的な変革的シナリオの評価、リスクを軽減するための実行可能な対応計画の策定などです。 調査について プロティビティ、Broadridge社およびBoardProspects社は、2024年第4四半期にグローバル・ボード・ガバナンス調査を実施しました。同調査は、取締役会メンバー、最高経営責任者(CEO)、その他のCレベルの経営幹部の視点を得ることで、取締役会のパフォーマンスを向上させる機会を特定することを目的としています。1,800人以上の取締役とCxO幹部に対して調査を行いました。一部の質問について、複数の取締役を務める取締役には、その中で最も規模の大きな企業に関する回答を提供していただいています。本調査にご協力くださった皆様に感謝します。 Topics 取締役事項 IT管理/アプリケーション/トランスフォーメーション ビジネスパフォーマンス デジタルトランスフォーメーション AI(人工知能)